ストレスが人に与える影響

正しいストレスとは?

一般にストレスというと、例えば仕事で行き詰まるとか、暑い・寒いといった環境の変化などのことを「ストレス」と思われていることが多いですが、実はこれは間違った認識です。

ストレスとは外的な要因ではなく、それによって身体の中で起こる
反応のことを「ストレス」と言います。

例えば、今なら夏の暑い気候によって、身体が変調をきたします。
それに対応するために汗をかいて、その気化熱で体温を下げる。
この反応のことを「ストレス」と言いうのです。

つまり、ストレスとは原因ではありません。

正確には、「暑さ」といった原因は「ストレッサー」というのが正しい言い方になります。
そこから、「ストレス」という生体反応、例えば汗をかく、といった身体の防御反応がはたらくわけです。

これが、ストレスの基本的な考え方ですが、現状は多くの人がストレッサーのことも「ストレス」と言っているのです。

 命にも関わる外界からの負荷

人間の身体というのは、寒いとか、熱いとか、空腹になるとか。
あるいは、人間関係や仕事がうまくいかないとか。
日常生活の中で様々な肉体的・精神的な負担を受けます。

でも、それを放っておくと、私たちの身体はどんどん疲弊してしまって、最終的には死んでしまうことにもつながり兼ねません。

極端な例を挙げると、野生のうさぎに向けて猟師が鉄砲を撃ったとき、たとえ弾が当たらなくても、銃砲の音だけでうさぎがショック死してしまう場合があるのです。

なぜそのようなことが起こるのか。

自然界ではそんな大きな音を聞くことはないですよね。
だから急激な銃砲音に肉体が対応しきれず、そのまま死んでしまうわけです。

この事例が示すように、私たちが外界から、耐えれないほどの刺激を受けると、生命すら失う、ということです。

 身体の防御反応

ただ、私たちは様々な刺激から体を守る反応があり、多くの場合「抗ストレスホルモン」が体内で分泌されます。

例えば、聴衆の前で話をする時、心臓がドキドキしてしまうとか、顔が赤くなってしまうとか。

これは、心臓の拍動を上げて、血液の循環をよくして、身体全体に酸素や栄養を供給するために起こる反応です。
緊張した状態で話をする、というストレッサーに対して、身体を守るために起こります。

そして、緊張状態から解放されると、また元に戻る。

人というのは、常にそのようなことを繰り返しています。

 ストレスは身体に必要な反応

ここで覚えていてもらいたいのは、ストレスというのは、決して悪いものではなく、私たちの身体を守ってくれる反応、ということです。

逆に、何もしなくてもいい。そんなストレスの起きない環境の場合、本来外部からの刺激に対して反応すべき機能が、どんどんと失われてしまうことになります。

例えば、スペースシャトルなどで宇宙空間に行った場合を事例にあげます。

普段私たちには重力という負荷がかかっているため、筋肉も骨も丈夫に保てます。

ところが、重力がなくなり体重が関係なくなる状態だと、身体に負荷がかからないため、筋肉も骨もほぼいらなくなるわけです。

すると身体では、骨を形成するカルシウムや筋肉が破壊された成分が、どんどん尿の中に溶けて流れ出してしまいます。

だから、最近では少なくなりましたが、アポロが月面に行っていたころは、宇宙飛行士が長期滞在して地球へ帰ってきたとき、機体から降りてくる際、身体を支えきれず、手すりにつかまりながら降りてくる、という現象が起こるのです。

屈強なパイロットたちが、わずか何日間宇宙空間にいただけで、筋肉も骨も萎えてくる。
そして、そのリカバリーに数ヶ月かかってしまいます。

このように、ストレスがなくなることで、弊害も生じるわけです。

つまり私たちは、適度なストレスによって、身体が適正な反応を起こす機能を保つことができる、ということです。

 過剰なストレスがもたらす身体への影響

しかし、ストレスが過剰にかかり過ぎるのも問題です。

近年は、特にメンタル面でのストレスが問題になっており、うつやそれが元で自殺しまう、といったことが起きています。

なぜこのようなことが起きるかというと、例えば、仕事面でずっと重圧がかかった状態が続くとします。

すると、常にストレスに対抗するために、心臓がバクバクして心拍数が増える、血流量が上がる、血圧が上がる、このような状態が続くわけです。

これは、本来なら重圧から解放されれば元の状態に戻るはずが、そのまま元に戻らなくなることがあります。
つまり不可逆的な変化を起こすのです。

そして、抗ストレスホルモンがどんどん分泌されて、体全体の興奮状態が続き、一般に言われている「自律神経失調症」になってしまいます。

 均衡を保つ身体の機能

自律神経というのは、ストレスがかかると交感神経という興奮型の神経がはたらいて、逆にストレスがなくなると副交感神経という身体を休める神経がはたらきます。

この2つは常にヤジロベイのように、お互いにバランスを保っているのです。

ストレスが常にかかっている状態だと、交感神経がずっと緊張した状態になる。
つまり交感神経緊張症となります。

これは、身体が常にフル回転しているということですから、いつかは身体に不調をきたし、下手をすると命に関わる状態にまで陥ります。

車で言うと、タコメーターのレッドゾーン付近で、ずっとエンジンを吹かしているようなものです。
当然、そんなことを続ければエンジンはオーバーヒートしてしまいます。

このように、交感神経と副交感神経はストレスの有無によって、常にバランスを保とうとしながらはたらいているのです。

ストレスというのは、過度にかかり過ぎてはいけないものであり、逆になくてはならないものである、ということを覚えておいてもらえればと思います。

それでは!

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